— Kenji Sekiguchi

レーベルが出来ること

久々の書き物です。

現代では、インターネットによってアーティストとリスナーの交流が活発となりました。業界は進化し続け、アーティストが自身で音楽を売ることが出来るシステムも開発され、ビジネスモデルの改革が起こりつつあります。レーベルの存在意義が問われる意見もちらほら見るようになりました。

僕のレーベル運営に対する考えは色々ありますがその中でも、業界の中で「レーベルが出来ること」に絞って記事を起こしてみます。

僕はアーティストによって作られた音楽がリスナーに届くまでの一連の流れを「生産」と見なしています。生産には、生産者(アーティスト)と生産性を上げる人(レーベル)の両者が居て最大限のパフォーマンスが発揮され、より多くの方に音楽を楽しんでもらえると考えています。

レーベルがアーティストの生産性を高める手段としては、楽曲の販売業務や流通経路の開拓はもちろんですが、それ以外に楽曲の質向上のための助言、ウェブサイトやラジオを利用した販売促進活動、外部のレーベルなどからの仕事の紹介、レーベルのブランド価値の提供などがあります。

ですが上に挙げたものは時代によって変わって行くものであり、本質的なものだと考えていません。アーティストの生産性が高まる本質的な要因は、レーベルがレーベルメイト達の「共創の場」として機能することだと考えています。

レーベルメイト同士の関わりと言えば、コラボレーションやリミックスといったお客さんの目に見える形での交流が挙げられます。それ以外にも、作曲技術、音楽活動に対する意志、哲学的背景、いわゆる職人芸と言われる言葉にしにくい知識など、お客さんの目に見えない部分でも貴重な知識が交換されることがあります。これらが一人一人のアーティストに技術的・精神的に良い方向に作用していることを、これまでの活動で実感しています。

つまるところレーベルが出来ることは、その時代に最適でかつ一人一人のアーティストに合わせた方法で生産性を高めることと、所属するアーティスト達に共創の場を提供すること。この2つが本質的な使命なのではないかと考えます。これらを押さえないと、いずれレーベルという存在も業界から淘汰されてしまうのではないかという危機感があります。


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1 comment
  1. trancer since '99 says: 2011/03/0400:30

    こんにちは

    06年頃からKenjiさんや日本のトランスアーティストの皆さんを追っかけている者です。当時を振り返えると、改めて時代の変化と、Kenjiさんやアーティストの皆さんの躍進は驚くべきものがあると感じています。

    言われているようにインターネットで交流の利便性が向上したことや音楽配信が大手でなくても容易になりましたが、リスナーとしては本当に多大な恩恵を受けています。特に田舎暮らしの私には(笑)。

    大手レコードレーベルがなんでもあるコンビニだとすると、インディーズレーベルはこだわりの専門店といった印象があるのですが、記事を読ませて頂いてOtographicのこだわりの高さが伺え、きっとこの先も本物アーティスト、コラボによるProgressiveDanceMusicが聞けると期待を新たにしました。

    また、リスナーとのコミュニケーションを好ましく考えて下さってあり、
    オトグラジオ等の試みもとても楽しんでいます。
    かつてSevensencesでMatsunagaさんがBlogでそのような企画をやりたいといわれていたのですが、残念ながら適わぬままレーベル休止となってしまい(泣)。
    縁起でもない話ですが、将来Kenjiさんがレーベル活動を終わられる時が来ると思います。その時は必ず意思を次ぐ人、レーベルを準備くださいね。

    これからも日本のOtographicをはじめとしたトランスレーベル、アーティストの皆さんの生産活動を応援しています。
    それと私もいつかOtographicに聞いて頂けるレベルの曲作れるようになりたいです。ど素人ですが(笑)。

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